第1102回
命を掴む「いい場」とは何か?
猛暑の台湾から帰ってくると、
帯津良一医師から
近著「いい場を創ろう」(風雲舎)という単行本が
送られてきた話の続きです。
この本は、先生の持論である、
ガンを克服するには、
ただ薬や手術に頼るだけでなく、
「エネルギーの高い《生命場》=《環境》つくりが大切だ」
という考え方を集大成した新作ですが、
では、帯津医師が考えている
いのちを救う「いい場」とは、
どんな環境をいうのでしょうか?
―「場」の善し悪しとは、相互に影響しあう
「場所」(シチュエーション)と
「人」のエネルギーで決まると言い換えることができます。
いい場のエネルギーを受け取ることによって
その人の「いのち」のエネルギーが高まることもあれば、
「いのち」のレベルが高い人が集まって
その場のポテンシャル(注・能力)が高くなることがあります。
逆に、エネルギーが低下した場の影響を蒙って、
そこにいる人の場が低下してしまうこともあるし、
エネルギーの低い人が
その場のレベルを落としてしまうこともあるはずです。
では、帯津医師は、
医学的に「場」をどう考えているのでしょうか?
―身体は単なる臓器の集合体ではありません。
体内には無数の隙間があります。
わたしはその隙間に生命エネルギーの
粒子のようなものが重層的に分布して、
特異な「場」を形成しているのではないか
と考えるようになりました。
そうだとすれば
電磁場という言葉に倣って
そうした場を「生命場」と呼んだとしても
いいのではないでしょうか。
さらに、清水博・東京大学名誉教授の
著書「場の思想」を引用して
「生命場」を定義づけしています。
(注・《 》の部分が清水教授の引用部分)
―《場とは何かと聞かれたとき、
私は次のように答えることが多い。
「あなたの体をつくっている
細胞のひとつを想像してください。(略)
あなたがその細胞になったつもりで考えてください。
そのときにあなたが感じるもの、それが場なのです」
分りやすくいえば、
場とはこの場合は自分を包んでいる
全体的な生命の活き(はたらき)のことである》(略)
細胞が私たちの身体のなかで生きているように
われわれも家族や仲間、
あるいは社会といった「場」、ひいては
宇宙、虚空といった
もっともっと大きな「場」のなかで
生き、生かされているのではないでしょうか。
かようにして、いのちのしくみを考え、
とくに、ガンのような複雑な病気は、
ただ臓器を切ったり、化学薬を投与するだけでなく、
「生命場」という、
人間や環境の全体の関係を考えて治療し、
養生して行くことが大切だと、
帯津医師は説いているわけです。
「いい場を創ろう」(風雲舎)は、
とても、奥の深い内容が
わかりやすく書かれいる本ですから、
患者さんや家族の皆さんはもちろん、
医療関係者にもぜひ一読してほしいと思います。
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