第1017回
夫「定年後は楽しみだ」 妻「憂鬱ね」
最近、僕の後輩たちにも
60歳の定年を迎える人たちが多くなってきて、
その第2の人生設計を聞いてみると、
なかなか思い通りにはいかないようです。
それこそ、ガンや心筋梗塞にもならず、
無事、健康を維持して定年を迎えたならば幸運な人です。
生活を縮めれば、
65歳の年金支給までは、
退職金や個人年金でなんとかしのげるわけですから、
趣味に生きるのもよし、
ボランティア活動に転進するもよしです。
しかし、本音は
「なんとか、子会社にでも残りたい」
「少しでも自分の専門を生かした勤め仕事をしたい」
と考えるのが大半なのですね。
60歳といっても、
まだまだ20年は人生があるわけですから、
楽隠居するには残りの人生が長すぎる。
それどころか“爺さん”が
毎日毎日、自宅でゴロゴロして、
テレビを見たり、飯を食っているのでは
奥さんから嫌がられるのは間違いありません、
博報堂の「団塊世代の夫と
その妻の定年に対する意識調査」によれば、
夫の85%が「定年が楽しみだ」と回答したそうですが、
その妻の40%は「憂鬱」だと答えたそうです。
というわけで、
僕の後輩たちの「夫」たちも大変です。
ま、経理のエキスパートであるとか、
役員乗用車の運転手をやっていたという人は、
結構、うまく、小さな会社に再就職できましたが、
あとは、どんなに部長や役員のキャリアがあっても、
マンションの警備員や駐車場の係員といったところが、
条件のよいほうなのです。
そして、最近は、
その警備員や駐車場の係員の口も
「狭き門なのです」というではないですか?
中には、ある新設の私立大学の助教授になって、
新たな夢を抱いてスタートした人もいました。
しかし、現実は厳しいもののようです。
給料がべらぼうに安く、
郊外の大学まで通うのに2時間もかかり、
おまけに、出来の悪い学生の就職係までやらされて
へとへとになって1年でギブアップしたというのです。
そうですよね。
昨今の大学とて営利企業ですから、
売り上げに貢献できない“先生”はいらないのです。
ちなみに、何冊かの拙著でも書きましたが、
「2007年問題」という、
団塊の世代800万人のうち、就業者500万人が、
2007年〜2009年の間に
どっと定年を迎えます。
60歳からの再就職は、
ますます難しくなってきたようです。
いやはや「長寿難病」もいやですが、
「長寿健康」も大変な時代だなあと
改めて、思い知らされわけです。
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