元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第996回
なぜ、温泉は「いのちの場」なのか?

秋田の玉川温泉に出かけた話の続きです
ご一緒していただいたのは、
ジャーナリズムの大先輩である
(株)知性社の社長・小石原昭さん
名俳優の内藤武敏さんでした。
まさに“病気と共生”しながら、
上手にわが身のバランスをとって、
日々を明るく過ごしている達人のおふたりです。

それでも、内藤さんの方は、
半年前に奥さんに先立たれた
そのショックが大きかったように思います。
奥さんのガン発見が遅れ、
大学病院から見放されたことについては、
「悔やまれてならない」と
つくづく語っておられました。

胃から肝臓、そして肺に転移する
という多臓器ガンだったというのですが、
長年、通っていた大学病院では発見されず、
おかしいと思って、別の病院に行き、
ガンとわかったときは「もう手遅れです」と、
そこでも匙を投げられたというのです。
親友の小石原さんも僕も、
いろいろ代替療法を紹介したのですが、
とても間に合いませんでした。

「それにしても、いまの大学病院には、
 各科ごとの医局のセクト主義には驚きます。
 担当医は自分の専門部位しか見ないのです。
 もう少し、横の連絡が取れて、
 総合的に診断してもらえたら、
 妻は手遅れにならずにすんだと思うんです」

小石原さんも、
「ヤブ医者に頼るな」
「患者が主治医」がモットーで、
ちょっと具合が悪いと、
何人かの大学病院の教授たちに連絡して
自分の納得のいく治療法をとことん探し出すという、
実践派の健康達人ですから、
「お役所に限らず、
 大病院の縦割りシステムが問題だな。
 “自分の体は自分で守る”――
 患者には、これしか手がないという、
 いま日本の医療行政がおかしのだよ」と
ジャーナリズムの大御所らしい
鋭い発言をされておられました。

「いま、僕自身も、糖尿を抑えると腎臓が悪くなる・・・
 腎臓の薬を多くすると糖尿が進む・・・、
 こんな厄介な闘病話をすると、
 たいていの人は嫌がるのですが、
 小石原さんや関根さんなら、
 いくら病気の話をしても
 嫌がられないから、うれしいよ」と、
内藤さんがニコニコと話す。

温泉場には、こうした、
“いのちのエネルギー”を高める効用=
雰囲気つくりがあるのですね。
78歳のふたりの長生き上手の達人から、
「人生、悔いなく、楽しく過ごすこと」が
いかに大切かを、温泉に浸かりながら、
毎日、うかがったことになります。
精神的にも“元気と勇気”を貰ったのは、
僕たち夫婦の方でしょう。
もし、大病や難病に遭遇しても、
ただ薬や医師に頼るだけでなく、
「いのちの有難さを共有できる」
仲間をいかに多く持つか?
これが“最大の良薬”だと学んだ、
スローヘルスな温泉三昧となりました。


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2005年5月19日(木)

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