元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第787回
お年寄りの『生きる居場所』とは?

ガンとボケが一緒に襲ってくるような
長寿社会をどう生きるべきか?
そして、みんなで、どう支えあって、
「命のバトンタッチ」を果たしていくべきか?
あれこれと考えている頃、
ある日「グループホーム・ケア――
痴呆を治す介護の実践」
(講談社)という本が送られて来ました。
送ってくれたのは、著者で、
文化放送制作部のプロデューサーの塚本茂さんという人です。 

この本は、ただの痴呆や寝たきりの介護マニュアルではなく、
いかに納得して高齢人生を生き抜いていくか?
また、いかに周囲の人たちが納得して患者を支えていくか?
まさに、現実の長寿社会の
「命のバトンタッチ」について書き下ろした、
ドキュメントであり、まさに地に足をつけた、
人生訓エッセイだと、僕は思いました。

ガンで死ぬ方がマシだ!
ボケで死ぬのはいやだ!
ガン即=死の「不治の病」だ、
ボケはみっともない「死に方」だ――などといった、
絵空事の人生エッセイではありません。

痴呆や寝たきりの介護施設といえば、
大規模な老人ホームから、
少人数ケアのグループホームまで各種あるわけですが、
ともすればマニュアルに偏りがちな介護の反省を元に開設された、
「和笑庵」という、
小規模の民間のケア施設=宅老所について、
そのケアの温かさを中心に、
痴呆回復の実例、介護者のあり方から、
法整備の問題点まで、痴呆ケアの未来を描いたものです。

著者の塚本茂さんは、ラジオで、
こうした「クループホーム・ケア」の番組を報道して、
ギャラクシー賞を受賞したプロデューサーですが、
前に、このコラムでも紹介した
評論家の竹村健一さんの番組
「世相ホットライン」の担当も兼務していたので、
僕はその縁で知り合ったわけです。

この本には、
東京・杉並の住宅街の―角でスタートして3年の
「和笑庵」の様子、
通って、泊まって、住む――
そこはお年寄りが自分らしく当たり前に暮らすための
まさに「生きる」居場所が再現されておりました。
決して「ボケはみっともない」
「死ぬのならガンの方がまだマシだ」――
などといった生半可な人生観を寄せ付けない、
「生きる」ための後半生の知恵がたくさん詰まっております。
ぜひ、みなさんも読んでみてください。
「明日はわが身」の大切な話が書かれております。


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2004年10月22日(金)

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