| 第725回ガン治療は「合わせワザ」
 治療情報公開の進まない医療現場の中で、300万人・ガン患者は、
 どういう治療選択、病院選別をしていけばよいか?
 近著「医者と患者がつくった ガン治療入門」
 (土屋繁裕・関根進共著)から、
 僕の考え方を抜粋します。
 大切なのは「治療+養生」!
 生活習慣病は生活習慣の改善で治そう――
 という発想です。
           * 治療のポイントとして「いかに心身に負担の少ない治療を選択するか」
 という治療選択法について解説してきましたが、
 ガン闘病にはもう一つ、
 「患者自らが免疫力を高めるにはどうすればよいのか?」――
 さらに積極的な治療法=「患者の養生」が、
 ますます欠かせない時代となってきたと思います。
 「治療と養生」――この両輪が揃って始めて、ガン克服の設計図が描けるものだと思います。
 いくら著名な教授に腫瘍を切り取ってもらっても、
 治るどころか術後の合併症で
 命を縮めるケースも出ているからです。
 また、大学病院には手術に熱意を燃やす医師、いや、中には「切り捨てご免」の外科医もおりますから、
 患者の術前術後の食事や社会生活の処し方などの
 トータルな相談に乗ってくれるケースが少ないのも現状です。
 とくにカウンセリングや食事指導など
 保険診療の医療点数が低いわけなのか
 医師自身が勉強不足なのか、
 殆どの主治医が無頓着であります。
 とすれば、患者はより能動的積極的に「養生」に磨きをかけねばなりません。
 本書はEBM=標準治療、つまり、
 治療や薬剤の立証性、客観性、普遍性は大切に考えつつも、
 HBM=人間本位治療に目を向けた、
 より広い選択肢を提案しております。
 たとえば、EBM=標準治療で公認されている手術法にしても
 無謀な拡大手術などは
 命を損なう危険をはらんでいます。
 また抗ガン剤の新薬認可にしても、
 腫瘍縮小率は20%程度が規準で、
 世の中で信じられているほど
 100%の有効性があるわけではありません。
 厚生労働省の研究班の報告でも、ガン病棟の入院患者の半数近くが、
 なんらかの代替治療や
 健康食品を密かに併用しているという
 統計があがっております。
 医師は手術が一番、
 いや抗ガン剤、放射線が優位だと
 頑にごり押し治療を唱えておりますが、
 長い人生の患者のQOL(命の質)を考えれば、
 これからの闘病は、治療+養生の組み合わせ、
 わかりやすくいえば「合わせワザ一本!」という
 発想の時代に入ってきたと思います。
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