第564回
患者の「生きる希望」とは?
帯津医師の近著「養生は爆発だ!」は、
毎週1回、病院で行われる
「講話会」での先生の話をまとめて
加筆したものだそうですが、
患者の体験例として、
「切らずに治す」という僕の養生話もされたようで、
やはり、この病院の患者であった
親友で作家の倉本四郎さんの闘病と
あわせて掲載されています。
ただの治療例ということではなく、
患者はどう生きる希望を持つべきか?
患者がいかに納得して闘病人生を送っていくべきか?
患者一人一人の人生そのものを温かく見守る医師の
素晴らしい文章でまとめられていますので、
ぜひ読んで見てください。
小見出しは
「ひぐらしや なお日を残しつつ」というタイトルです。
このコラムの常連読者なら
覚えているでしょうが、
この句は、無念にも食道ガンに倒れて昇天した、
倉本四郎さんが最後に残した辞世の句です。
「昨年(2003年)8月、『週刊ポスト』で20年間
書評を書きつづけていた
倉本四郎さんという優れた書評家が亡くなりました。
食道がん、59歳でした。
倉本さんがわたしの病院にやってきたのは、
『週刊ポスト』で部数を伸ばした
元編集長・関根進さんの紹介でした。
その関根さんもやはり食道がんで、
わたしの病院にきていたからです」
と始まりまして、
ホリスティックな患者の養生にも、
その人ごとに、いろいろな考え方があると説き、
前の章では、こうも述べておられます。
「希望や生き甲斐は、
なにも高望みする必要はありません。
高値の花でなくてもいいのです。
もちろん高い希望もいいけれども、
そのときには同時にもうひとつ、
もっと現実的で達成可能な希望、
生き甲斐をもつことが大事だと思います」
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