元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第502回
後半生を悠々と生きる――「それでも」の法則

ジャーナリストの先輩の小石原昭さん(76)は
月刊誌「財界」で「悠々対談/この人いまの気分」
という連載をしておりますが、
この記事をまとめたものが
「僕らはそれでも生きていく」 「時代を掴む男たち」
(共に財界研究所)
という単行本になって出版されています。

さまざまな豪快なる人生の鉄人、養生の達人が
ゲストに登場するのですが、
一人、僕の主治医である帯津良一博士(67)と語る
“心身養生”対論で
なかなかしぶとい処世訓が語られていますので
紹介しておきます。
逆境を乗り越えるヒントというか、
後半生を悠々と過ごす極意が語られています。

小石原:自然治癒力を高める日常のライフスタイルについて、
      お薦めや注意点をお話し下さい。

帯津  :明るく前向きは無理だと思いました。
     そして、人間は哀しくて寂しいものだと結論したんです。
     (略)
     ですから患者さんにも
     「人間は哀しくて寂しいものなんだから、
      それより下はもうないから、
      その大地から未来に向かって
      生甲斐の大木をたてたらいい」と言うんです。
     けれども、大袈裟じゃなくていいんです。
     要はそれを育てていくことが大事じゃないでしょうか。

なるほどね。
養生訓、処世訓というと、
ついつい「前向きに」「明るく」「不幸を嘆かず積極的に」などと
簡単にいってしまいますが、
実際、ガンと宣告されたり、つれあいを失ったり、
倒産したり…人生の逆境にたったときに、
己を立て直すことは至難のワザです。
そうしたとき「もうこれより悪いことはない」
「これまで生きてきたことが幸運だった」
と思えたときから、
本当の人生再設計が始まるというわけです。
足元をしっかり見つめて人生を送る心構えが出来れば
シメタたものだというわけです。

ところで、帯津医師からは、
ガンに負けない養生訓として
「生命在脚下 希望在心中」という言葉を
教わったことがあります。
長い人生、高望みしたらキリがありませんが、
不幸を嘆いてばかりではいけません。
いまや、毎年2万社が倒産する、
50代サラリーマンの大半がリストラに遭う、
2人に1人がガンにかかる、
4人に1人が老親の介護をしなければならない――
こうした長寿受難など当たり前と割り切って、
「それ以下はなし」「それでも生きる」と
腹を決めれば勇猛心も希望も湧いてくるというわけです。

まあ、小石原さんにしても、帯津医師にしても、
そとから見ると、
すいすいと気楽に人生を渡っているようにみえますが、
発想がじつに粘り腰のスローヘルスなんですね。
「それでも僕らは生きていく」
という本のタイトルではありませんが――
後半生悠々の養生訓は
「それでも」の法則にありというわけです。


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