第302回
ストレスがガン免疫力を下げる
「慢性的な絶望感と鬱状態」と
「ガン発生率」の係わりを明らかにした
ロンドン大学のH.J.アイゼンク教授の話の続きです。
教授の開発した行動療法とは、
患者の自立性、つまり、外から影響されずに
「自分の行動を望ましい方向に
コントロールできる能力を高める」ことが、
ガンを避け、ガンから立ち直る近道だとする、
ストレス解消療法です。
「ガンにかかりやすいパーソナリティ」という本に
分かりやすく解説されています。
俗な例でいえば、
「恋人に振られた場合、
見込みのないヨリを戻そうという努力」はマイナス行動で、
「振られた相手をきっぱりとあきらめ、
新しい交友関係を確立する」
先行きプラスの行動に切り返すことが
健康によろしいというわけです。
「言うは易く、行うは難し」で、
マザコン、劣等感、
さらにガンの痛みとの闘いなどから
立ち直るのは大変な作業ですが、
医師や心理学者の指示にしたがって
自立イメージや催眠療法を組み合わせて治療を続けると、
数ヶ月から数年で
緊張からリラックスへ行動が変わってくるそうです。
「ストレス→絶望感→抑圧状態→
ステロイド・ホルモンの過剰分泌→
発ガン物質増加→リンパ球減少の免疫力抑制→ガン進行」
これが教授が考える「ストレスとガン発生」
の仕組みですが、
行動療法の普及と啓蒙をはかっている
日本行動療法学会の招きで、
1987年9月に来日し、
「私の心理学研究、過去、現在、未来」
という演題で、特別講演をされております。
以後、日本の研究でも
「ストレスがガン免疫力を下げる」といった
研究と療法の開発はますます深まっているようです。
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