第277回
持つべきは友、頼るべきは家族
人生の縁、運命の分かれ道とは不思議なものですね。
このコラムでも何度か紹介しましたが、
元作家で、いまは旅行ソフト開発の会社の社長を生業としている
「絶倫くん」という親友がいます。
ちょっと世間の常識を外して人生を豪放磊落に過ごしている
愉快な仲間ですが、
人一倍の生薬秘薬マニアで、
中国の三鞭丸やバイアグラで回春をはかる、
まさに仕事にも女性にも精力絶倫の人であったことが幸いしました。
「手術は命を縮めますから、絶対にダメですよ。
口だろうがお尻の穴だろうが、
皮膚の穴、いやいやチンコの穴…
体中の穴という穴から、生薬秘薬を注ぎ込んで下さい。
生きる!と、運命にしがみついてください」
と、主治医が聞いたら仰天しそうな
「ガン穴攻め療法」を説いて、
中国の制ガン漢方薬の天仙液を運び込み、
さらにSODという健康食品を持ち込んでくれたのです。
天仙液を香港からの複雑な輸入手続きを手助けしてくれたのは、
絶倫くんの友人の英語に強い獏さんですが、
ふたりとも素晴らしい友人でした。
とくに、己の人生に信念と勇気がなければ、
他人の命に本気で口出しはなかなか出来ないものですが、
この友人と妻の共同作戦が僕の「手術拒否」の決断を
早めたことはいうまでもありません。
「切るぞ、切るぞ」と怜悧に迫る主治医より、
僕は「切るな、切るな」と親身になって手だてに奔走してくれる
友人と妻に再生の息吹を直感しました。
世間の常識から見れば、
なんと神懸りの馬鹿なヤツらだと失笑をかいそうですが、
このガン病棟脱走事件が契機となって、
やがて「患者が主治医」の
ホリスティック(全人間的な)治療にも出会い、
命を一つ拾ったわけですから、
いまでは治療・養生の選択に間違いはなかったと
確信を持っています。
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