元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第220回
名著「梅干と日本刀」を読んだことがありますか?

毎日、わが家の食卓には
おいしい手作り梅干が常備されています。
自宅の手作り梅干だけでなく、
和歌山にいる従弟夫婦や
岩手・水沢の鈴木博子さんに送ってもらったり、
大腸ガンを上手に克服した
出版評論家の信州の実家から
おすそ分けしてもらったりして、
まさに「梅干ライフライン」を作って、
食卓の「常備薬」としているわけです。

ところで、日本人と自然共存の知恵を説いた本に、
樋口清之さんの「梅干と日本刀」(祥伝社)
というベストセラーがありました。
日本刀や浮世絵を例にあげ、
西洋科学では理解しがたい日本人特有の
合理性について論じた書です。
そして、もっとも日本人らしい発想と知恵の
シンボルとして梅干をあげているわけです。

樋口さんはその後、梅干博士の愛称で親しまれましたが、
その伝にしたがえば、、
梅干の手作りも知らない日本人など日本人にあらず。
欧米の産業や文化を物真似するだけでなく、
フライドチキンやアイスクリームの虜になって、
ガンやアトピーに罹るなどは自業自得の極みだと叱られそうです。

この本は、1975年、高度急成長の坂道を駆け上り、
穀物や野菜の自給を止めて、
日本人が一億総“食の堕落”に突っ走っている最中に
ベストセラーとなったのですから、
警世の書としては
まさに先見の明があったのでしょう。
「梅干=日本人論」は
いま欧米食に馴らされた
僕たちにとって
示唆に飛んだ内容をたくさん含んでいますから、
機会があれば改めて読むことをオススメします。
文庫本になって出ています。


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2003年4月4日(金)

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