元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第65回
肝臓ガンも、なかなか難しい手術です

「主人は、手術後の経過もよく、
なんとか退院できることになりました。
今後は、再発をしないよう、しっかりと食事療法もやって、
後はゆったりと親子3人、
仲良く暮らしていければと思っています。
これからも、いろいろ相談に乗ってください」
肝臓ガンを切るべきか、切らざるべきか、
悩んだ末に手術に踏み切った
まだ40代の働き盛り、
新聞記者のBさんの奥さんから明るいメールが届いたのは、
そろそろ桜の蕾が赤くなる3月の頃でした。
手術という難関を一つ突破したわけですから、
奥さんもホッとしたのでしょう。
ところが、僕がチベット旅行から帰った夏のある日、
とつぜん、Bさんが亡くなったと知り、
無念の涙が止まりませんでした。

肝臓ガンは体の奥深い臓器であり、
検査も治療も難しいガンですね。
放射線や抗ガン剤は殆ど無効で、
大抵が手術ということになります。
おまけに、黄疸や腹水などの肝機能障害がある場合は
手術不可能です。
その場合は大腿部の付け根の大腿動脈から血管カテーテルを挿入。
抗ガン剤を染み込ませた塞栓物質を
患部血管に注入するTAE治療を行いますが、
これも疼痛に耐えられない治療のようです。

Bさんの場合は手術可能でしたが、
血液や体質に問題があり、これがネックでした。
「血液が凝固しやすい体質のため、
術後に血管が詰まるという可能性も考えられ、
最悪の場合は肺梗塞(=即死)というケースも考えられる」
と、血液担当医から事前に心配されていたといいます。
肝臓ガンは手術の際の大量出血は命にかかわりますが、
迷いに迷った末に手術を選んだわけです。
友人を通じて、Bさんと奥さんからは何度かメールの相談にのり、
まず、幼いお嬢さんの将来の第1に考えて延命しよう、
しっかりと「生き抜く勇気」を持ちましょうと確認し合いました。
病院の治療だけでなく、ガンに負けない体質に作り変えるために、
食事療法も熱心にはじめたのですが、
体質改善が間に合いませんでした。
これからが仕事盛りという惜しい人を失いました。

肝臓ガンは男子の死亡数では第3位、
5年生存率も手術で50〜60%。
40歳〜60歳に多発するガンです。
原因は、大部分が肝炎ウイルス(B、C型)感染ですが、
やはり日頃から、
アルコールや肉類の取りすぎに注意して食事をとること、
またガンに限らず、肝臓検診は受けること…
もはや、これは一家の大黒柱サラリーマンの大切な責務でしょう。


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2002年10月31日(木)

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