中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4415
漢方に世界の関心が集まる時が

一国の文化を代表する物は第一が言語で、
第二が食べ物と私は思っていますが、
その次に大切なのは健康を維持するための
医術ではないかと思っています。

ご存じのように、
中国には歴史と共に長い漢方という医術があります。
漢方は他の文化と共に日本にも移入され、
明治になって日本が西洋医学に一方的に乗り換えるまで、
日本人の健康と長く、深くかかわってきました。
それが医術として公式に認められなくなってからでも、
「漢方」という名で民間療法として
命脈を保ってきたことは衆知の通りです。

私も日本の植民地だった台湾に生まれ、
西洋医学と漢方に挟まれて育ったので、
何千年も人体実験をして生き残ってきた漢方に
それなりの価値を認めています。
ですから半世紀も前に「あまカラ」誌に頼まれて
食べ物随筆の連載をした時も、
「食は広州に在り」「象牙の箸」に続いて、
最後には「食前食後、漢方の話」と題して、
漢方の本を1冊書いています。

と言っても経済学の勉強をした私が
漢方に精通しているわけもなく、
「糊と挟みと面の皮」で専門書や古典から孫引きして
一冊の本にしたものですが、
そういう知識が頭の片隅を占めていたので、
20数年前に中国経済の発展に膝を乗り出した時も、
日本から資金と技術を中国に持ち込むだけでなく、
逆に中国から日本に反対給付として持ち込まれるものは
何かが同時に頭に浮びました。

その1つが中国語、もう1つが中華料理で、
その次は何千年もの歴史と人体実験を重ねた東洋医学でした。
外科では遅れをとっていますが、
人身実験では何千年の歴史を重ねた漢方です。
世界が1つになって行く過程で、
この次、大きく見直される文化の1つは漢方ではないかと考えて、
中国に渡る時に中国を代表する著名な漢方医の先生方と
知り合いになるチャンスをつくりました。
手術をしないで飲み薬だけで
癌をなおす漢方医の先生と懇意になったのも、
そうした必要を頭に描いていたからでした。





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2012年4月11日(水)

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