中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4414回
アモイのビーフンもお忘れなく

ラーメンもギョウザも小麦粉を使った食べ物ですから、
同じ中国でも北の方の食べ物です。
それに対して南の代表的な麺は何と言ってもビーフンでしょう。
米粉と書いてビーフンと呼ぶのですから、
お米を粉にしてつくったソバだということがわかります。

ビーフンはもともと厦門(アモイ)の食べ物ですから、
厦門米粉が元祖で、厦門周辺の人たちが
台湾、シンガポールに移住して土地の人になったので、
ビーフンもそれぞれの地域の名物になりました。
なかでもシンガポールは
ほかにこれと言う名物がなかったせいもあって、
ビーフンがシンガポール料理の代表格になり、
今では香港に行っても、北京や上海に行っても、
飲茶(ヤムッア)のメニューを見ると、
シンガポール米粉という米でつくったソバが名を連ねています。

私は子供の頃から台湾のビーフンに親しんで育ったので、
香港にいても北京にいてもビーフンを注文することがよくあります。
名はシンガポール・ビーフンでも
本物のビーフンと似ても似つかないものが出て来ますが、
ビーフンの本物を食べたかったら、やはり何と言っても、
厦門かコロンスに行った時でしょう。
ビーフンには焼ビーフンとスープになったビーフン湯がありますが、
私は焼ビーフンに酢を少々かけて食べます。
それが私の子供の頃の台湾のビーフンの食べ方でした。

今は日本にいても、
スーパーやデパートでビーフンを売っていますが、
昔のビーフンの味を知らない工場の経営者が
気やすく手に入るお米を原料にしているので、
昔とはまるで違う味のビーフンになってしまいました。
食べ物の味も時代と共に次々と変わるので、
不平不満を並べても何の役にも立ちませんが、
シンガポールと厦門と台湾に行った時は
一度くらいビーフンを注文して味比べをして見て下さい。
一口にソバと言っても、
日本ソバのほかにラーメンもあれば、ビーフンもあるのです。
スパゲティもマカロニも、もちろん、ありますが…。





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2012年4月10日(火)

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