中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4413
食べ物の世界も大きく変わります

ラーメンの次ぐらいに日本人に親しまれている
中国の點心は多分、ギョウザでしょう。
點心とは食べ物というよりは、おやつくらいの意味です。
食事の時にも出てきますが、ちょっとおなかのすいた時に、
腹ごしらえをするために口にするものです。

ギョウザの中国語は餃子と書きます。
正しくはチャウズと発音するのですが、
それが日本人にはなぜかギョウザにきこえたらしく、
いつの間にかギョウザギョウザと言うようになりました。
日本人はそれを中国語と思い込んでいますが、
中国人は日本人がチャウズをギョウザと呼ぶので、
中国人も日本人と話をする時は
「ギョウザいかがですか」とききます。
お互いに相手の国の言葉を喋っている積りで得意になっているのです。

そのギョウザがラーメンについで
いつの間にか日本人の食べ物として日本に定着しました。
宇都宮に行くと、宇都宮の名物として、しきりにすすめられます。
今ではギョウザを売り物にして上場したレストランさえあります。
でも本当は中国の北の方の食べ物で、原料が小麦粉ですから
華北から東北三省ではごく一般的な點心の1つと言ってよいでしょう。

特に有名なのは天津のギョウザで、
戦前から有名な狗不理というギョウザの専門店があります。
開放政策がはじまったばかりの頃は
国営のそういう店しかなかったので、千里の道を遠せずして、
わざわざグループ組んで食べに行きました。
あれから20年、一番改良が進んだのは食べ物の業界ですが、
20年たっても昔のままなのが国営事業ですから、
何年か前にガイドブックを見て思い出してわざわざ尋ねて行ったら、
喉を通すのにも努力を要する目にあわされたことがあります。

何もギョウザだけの問題ではありません。
一番難しいビジネスの1つがレストラン業で、
私が紹介した名店だって今や「彼は昔の彼ならず」なんです。
えらい目にあってもどうか私のせいにしないで下さい。





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2012年4月9日(月)

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