中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4318回
日本の国債にも飛び火が来たら

日本の国は国の借金である国債が
千兆円にも達して四苦八苦していますが、
私が株に関心を持ちはじめて
兜町の証券取引所を訪問した今から50年前、
日本政府には借金がなく、
毎年の収入で政治に必要な費用を賄っていました。

嘘のような話ですが、
その気になれば借金なしに国の収支を賄うこともできるのです。
でもいまの政治制度は選挙で当選した人が
政権を握るシステムになっていますから、
そういうシステムを採用している国々では、
選挙民に支持してもらうために、
多かれ少なかれお金をバラまくことが定着してしまっています。

日本のように比較的政権の安定している国では
借金までして国民のご機嫌をとる必要はないように見えますが、
福利や厚生や失業救済や災害対策を優先させるとなると、
建設や防災や国防は長期資金で賄うことになってしまいます。

気がついて見たら、
国家事業の大半は借金で賄うようになって、
その利払いやらやりくりで
当面はどこの国も頭を痛めるようになっています。
その最先端を切っているのがユーロの中でも
ギリシャとかイタリアということになっていますが、
それを対岸の火と見ているわけには行きません。
いつ火の粉がこちらまでとんでくるのか、
片時の油断もできないのです。

日本の場合は、
日本の国債はほとんどが日本人と日本の金融機関によって
賄われているから、日本人だけで片がつくと見られていますが、
もし金利の上昇が日本に飛び火して
国債の金利が1%上昇しても、10兆円、
2%なら20兆円の支出がふえます。
世界的な不景気によって税収が減った上に、
支出がふえ、国債を買う人が減ったら、
国のやりくりはどうなるのでしょう。
希望的観測と現実に起ることの間にはかなりのひらきがあります。
そうした事態も頭に入れて、
今後2、3年の世界の動きに
注目する必要があるのではないでしょうか。


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2012年1月5日(木)

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