中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4128回
勝利管道は待ち時間が必要です

私が取り上げた銘柄で、
5月16日に14.6億元の受注があったと発表されたのに、
値上がりどころか、逆に値下がりして
株主を面食らわせている銘柄に勝利管道があります。
その少し前に、ことし上半期の業績は
芳しくないという発表がありましたが、
昨年下半期の業績がそう褒めたものでなかったにも拘らず
精一杯配当もしているので、
株主の存在をちゃんとわきまえた経営者だという
印象は残っています。

業績が芳しくない理由は最近、
政府が経済の成長率を抑えるために
公共事業にブレーキをかけたからで、
石油や天然ガスのパイプ施工は
不急不要の部門に組み入れられてしまったのです。
日本のような陸地が狭いために
ガソリンを運搬するパイプ・ラインのない国で大地震になると、
運搬車が届かず大へんな目にあっていますが、
大陸では横断するパイプ・ラインが整っていないと、
本当はもっと困るのです。

中国の場合は国内だけでなく、
海外から原油と天然ガスを運搬するパイプの布設を迫られており、
ビルマとのラインもシベリアとのラインも
そういつまでも先延ばしにしてはおられません。
それが1社で14.6億元の受注に示されていますが、
この会社は大株主の構成から見ても、
会社のPRを派手にやれない立場にあります。
ですから実際に好業績が数字に表れない限り、
株価には連動しないのではないでしょうか。
そういった意味ではこのあとまだ半年ぐらいは
株主の期待に対応できないのではないかと見ています。

でも将来性のある業種ですから私は1.6元台でも買っていますが、
1.3元台でもくりかえしナンピンをかけています。
どう考えてもパイプ・ラインの施設のない状態を
続けているわけには行かない、
このまま更に施設を先延ばしにすると
エネルギーの配分に無理が生ずると見ているからです。
待てない人、短期勝負で人生を送っている人は
私が言わなくとも下りることになるでしょう。
勝負はそういう人たちが下りてからはじまると私は見ています。


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2011年6月29日(水)

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