中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4129回
中国水務に新しい動きが

景気不景気に拘らず、
これからの中国で不足するものとして、
私は水と銅と食糧をあげています。
一番わかりやすいのは、多分、水ではないでしょうか。

産業が発達したのと、皆の生活環境が向上したのとで、
水の豊かな地方でさえ、
水が足りなくなるのではないかと心配するようになり、
どこの地方都市に行っても、
行政を預かっているトップの人たちは
どうやって水のことで住民から文句を言われないですむか、
血眼になっています。
ですから水道局出身で早くから水処理を手がけ、
香港に上場している中国水務の段董事長が
水道施設の商談を持ち込むと、一も二もなくとびついたものです。

ところが、中国水務の業績を調べて見ると
本業以外の臨時収入が本業の収入より多く、
それが発表されると逆に株価が下がるようなことが起りました。
不思議に思って、私は香港の本社まで
説明を求めに行ったことがありますが、
どこの水道局も不要不急の土地をたくさん持っていて、
それらの土地の払い下げを受けてそこにマンションを建てると
たやすくお金がもうかったせいだということがわかりました。

一つにはまだ水処理の事業が
本格化していなかったせいもありますが、
この2、3年、水処理事業がいよいよ注目を浴びるようになり、
光大国際や北控水務をはじめ、ライバルも次から次へと出現して、
この会社も投資家たちによく知られるようになりました。
水処理の事業も大へんな勢いで伸びる方向に向っていますので、
気の多い(私は材木屋と呼んでいますが)ご本人も
遂に不動産業を分離して別会社として上場し、
中国水務は水処理に専念するようになりました。
その証拠として、ご本人は
自社株を証券市場で1株3ドル前後で毎日のように買い入れ、
如何に自分が本業に力を入れているかを
証券界に広告してきました。
その効果がやがて現われる時が近づいたかと見える動きが
最近やっと出て来たようです。


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2011年6月30日(木)

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