第4034回
唐山まで海水の淡水化工場の見学に
今回の第69回邱永漢投資考察団は
いつもの通り成田と関空から一先ず北京で集合しますが、
北京から福建省の泉州まで飛ぶ前に
天津の少し先になる
かつて大地震で有名になった唐山市まで
北控水務がスウェーデンの技術を取り入れて、
海水を淡水に換える工場の見学に参ります。
私が中国の水の問題をとりあげてからかなり久しいのですが、
中国で年々、水の問題が話題になるようになったのも、
新興国の抬頭による資源の問題とかかわりがあります。
中国は2010年代に入ると、
年に4%ずつ水が不足するようになるだろうと
かなり前から言われていますが、
産業の発展と国民総生産の向上によって、
汚水の処理と水資源の開発は
いよいよ余談を許さない段階に入ってきました。
早くから投資家の関心を集めたのは中国水務でしたが、
何しろ中国水務の董事長さんは材木屋(気が多い)で、
水道局の持っている土地の開発に熱心のあまり
本業の収益よりも副業で利益をあげることに力が入り、
大へんな利益をあげても
逆に株を売られることが珍しくありませんでした。
それが漸く本業に辿りついて最近はかなりの前進を見せていますが、
北京控股の子会社である北控水務が猛烈な勢いでその後を追い、
株価が中国水務を追い越す勢いを見せています。
今や北控水務は全国各地で水道工事の開発を手がけており、
恐らくすぐにも業界の第一位にのしあがるでしょう。
海水の淡水化はその縄張りの一部門にすぎませんが、
将来、中国でどうしても水不足が深刻化したら、
海で淡水化した水をパイプで北京に供給するだけでなく、
そのうちに黄河をさかのぼって
奥地まで供給する時代もあり得るのではないかと
夢のようなことを私は考えるようになってしまったのです。
もちろん、次の株価を決定するのは、
さしあたりもっとずっと前の去年の業績でしょう。
それが同じ勢いで成長し続けるとしたら、
水もまた資源株の一つとして
投資家たちの注目を浴びるようになると私は見ています。
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