中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4006回
そのうちに権力志望者はいなくなります

これから情報伝達の手段が発達して、極端な言い方をすれば、
1人にパソコン1台という時代になると、
多数決だけでは統制がとれなくなり、
すべての人を満足させないと
政権を維持して行くことができなくなってしまいます。
そんなことはできないに決まっていますから、
政権を握る地位にいる人は、
叛旗をひるがえされないためにも、治安を維持するためにも
武力と警察力を傘下におく必要があるようになり、
いつも神経を苛立たせて日々を送るようになります。
権力者になるということは
夜も安眠できない日々を送る地位を望む人ということになります。

最近のエジプトをはじめ、
中近東の国々では次々とゴタゴタが起っていますが、
ロシアだって、あるいは中国だって
為政者は片時も目を離すことができません。
体制に批判的な人や反対者の存在を許さず、
きびしい政策をとっているし、
まさかの場合のために武力や警察力を配下においてあるだけでなく、
テレビやパソコンにブレーキをかけることを
当然のことと考えています。
実はそれだけ恐怖心を抱えて生きていることになりますから、
そういう地位に
はたしてそれだけの値打ちがあるのかということになります。

では反対に政治にそれだけの権力と支配力がなくなったら、
政治家になるだけの値打ちがあるかということになると、
日本の政治家を見ればわかります。
「猿は木から落ちても猿だけど、議員はおちると議員でなくなる」
と言いますが、
何をやっても世の中を動かすことのできない椅子を狙うのは
そのうちに二流の人どころか
三流の人だけになってしまうのではないでしょうか。

世の中、やがて
権力者が存在する余地がなくなる方向に動いているのですから、
才能や野心のある人は権力者になる野望は持たないことです。
球を打ったり、球を足で蹴ったりするだけでも、
敵の大将の首を斬る以上に、
英雄扱いされる時代になったのですから。


←前回記事へ

2011年2月27日(日)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ