中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3526回
頭を柔軟にする運動に参加しましょう

50年前、マイホームづくりはコツコツと貯金をして
お金が貯まってからやるのが常識でした。
ところが高度成長がはじまると、
毎年のように土地も建築費も値上がりをしたので
お金が貯まるまで待っていたのでは、
家が建たずに腹が立ちました。
そこで頭金程度の貯金ができたら、
銀行から借金をして家を建てることを私はすすめました。
そのために40年前に「銀行とつきあう法」を書き、
どうしたら銀行から信用され、
お金を貸してもらえるか、
その要領について説明をしました。
それを実行に移した人は、
まだ地価の安かった時に、マイホームを持つことができ、
私はとても感謝されました。
まだ住宅ローンという制度が出現するずっと前のことです。

高度成長が終って、
外貨を稼ぎすぎたために過剰流動性が発生し、
マンションが億ションと呼ばれるようになった頃、
東京で一番高いマンションは
一坪当り千万円をこえるようになりました。
何しろ銀行ではお金がうなるほどありましたので、
人にどれだけ収入があるか見境いなく、
少々懐具合のよさそうな人を見ると、
銀行はマンションを買う資金を気前よく貸してくれました。
私は家賃でローンの返済ができなくなると、
ひどい目にあうから
銀行からお金を借りてはいけないと声を大にして
「銀行とつきあわない法」を書いて、
借金なしで事業や資産を運用するようにアドバイスをしました。
いまから10年前、1999年のことです。

ちょうど30年の間に世の中が大きく変わり、
私自身が全く反対のことを考えるようになったのですから、
人間はいつまでも同じ事に固執していたら、
全財産を失うような目にあわされます。
いまマネーゲームの時代が終って
次の新しい時代がはじまろうという時代にさしかかっています。
私自身も必死になって頭の切り変えに夢中になっていますが、
皆さんもどうぞ頭を柔軟にする運動に参加して下さい。
この連載もここで単行本1冊分の分量に達しましたので、
明日からまだ新しいテーマに移りたいと思います。


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2009年11月4日(水)

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