第3516回
早く終われ、オリンピックも万博も
中国のお役人さんは
日本の役人に比べてもうんと待遇は悪いし、
民間の企業で働いている人に比べても、
決していいとは言えません。
しかし、政府に権力が集中しているので、
それをカサに着て難癖をつければ、
民間企業からいくらでもお金を絞り取ることができます。
たとえば、北京でオリンピックと言えば、
国を挙げて大喜びと新聞は報じますが、
オリンピックになれば、
世界中からお客さんが大挙して集まって来ます。
外国人のお客は滞在中、3度の飯を食べますから、
「中毒を起さないように
レストランの設備を充分、監督するように」
と指令が出ます。
誰が見ても当然のことだし、
その通りに対応する必要もあります。
ところが、中国では
これが役人がふところを肥やすまたとないチャンスで、
役人たちは大喜びですが、
レストランの経営者は真っ青になるのです。
どうしてかというと、
どんな小さな店にも役人が検査に行く口実ができたので、
「あの設備がなっていない」
「こんな皿の洗い方では衛生基準に合わない」
と難癖をつけることができるのです。
いままでずっとそれでやって来たのに、
罰金を食らったり、設備に多額の出費が必要になると、
匙加減一つで役人の懐に金がころがり込むチャンスがふえます。
ですから商人たちが真っ青になる一方で、
役人たちは大喜びというのがオリンピックなのです。
同じことがいま万博の開催を来年に控えた上海に起っています。
素晴しい勢いで成長している大上海を
世界中の人に見せるために、
いま上海はどこも工事でごったがえしだし、
町並みの家々は壁を新しく塗りかえるために
テントをめぐらしています。
交通が渋滞しようと、人通りが遮られて客がいなくなろうと
政府はかまっちゃいません。
うちの浦東のビルだって、
隣りもお向いもレストランを閉めたり、
空家になったりしています。
人々が望んでいるのは万博に多くの人が来ることではなくて、
早く万博が終わらないかということです。
こんな国も珍しいんじゃないでしょうか。 |