中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3515回
官僚専制制度こそ中国の癌なんです

日本の政治体制にもかなり問題がありますが、
中国の場合も負けず劣らず改善の余地がかなりあります。
日本人は中国を批判する場合、
すぐ共産主義の欠陥を問題にしますが、
中国で一番障壁になっているのは実は共産党体制ではありません。

「共産主義体制は独裁制で選挙すらないじゃないか」
と言いますが、
じゃ選挙で政治家を選ぶ制度に問題がないかと言うと、
選挙する人のレベルによって選ばれる人が決まるのですから、
「バカがバカを選ぶ制度じゃないか」と
口の悪いバーナード・ショーは言っています。
現にテレビの時代が長く続いたおかげで、
テレビに出るチャンスの多い人が選ばれることは避けられないし、
テレビに出るチャンスの最も多いのは、
頭の程度と関係なく
イケメンだらけになってしまったのを見てもわかる通りです。

そして、日本の場合は、
二代目、三代目が後を継ぐチャンスが
ますます多くなっていますから、
若殿様が家老を、社長の2代目が
番頭に反撥する動きが激しくなっています。
それに対して共産体制の下でも、
二代目、三代目の問題が全くないわけではありませんが、
選挙のない分だけ、
派閥による政争が激しいし、
その対策にエネルギーの大半を消耗することは
当事者でなくとも理解のできることでしょう。

その上、下部組織が何千年も続いている
官僚専制の行政組織ですから、
日本では「政治がなくて行政あり」であるのに対して、
中国では「政治があって行政がない」と言っても
過言ではありません。
中国で政治家とは一言で言えば、
スローガンづくりのうまい人ということであって、
ケ小平の白猫黒猫論議を見てもわかるように、
うまいスローガンをつくれる人がすぐれた政治家なのです。
しかしたとえそういう人がいても、
その下でがっちりと行政組織を握っているのは
「昇官発財」(地位が上って金ができる)と言われる
昔ながらの役人たちですから、
お金という潤滑油がなければ、
システムはうまく作動してくれません。
中国の場合こそ改善すべきは官僚制度であって、
共産主義体制ではないのです。


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2009年10月24日(土)

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