第3509回
日本の国内消費は減る方向です
藤井財務大臣は円高によって輸出が減少しても、
国内消費の振興によって景気をよくするのだと
威勢のいい発言をしましたが、これには私も驚きました。
中国では8%の成長率を実現するために
死物狂いで国内消費の増強に力を入れています。
一番金カサのあるのは不動産と自動車ですから、
中国政府は銀行に命じてマンションの購入資金を貸しつけているし、
自動車にかかる税金を負けることによって
自動車の売れ行きに拍車をかけています。
こんなことは長続きのすることではないし、
やがてすぐにストップがかかることは目に見えているので、
その実力のない人たちでも大売出しに
3年後に使うものまで買い込むような挙に出ているのです。
おかげで田舎の百姓さんまで
郊外のマンションに住む人がふえています。
恐らくこうした政策はそんなに長くは続かないでしょう。
来年にならないうちに中国政府は来年の成長率を維持するための
新しい刺戟策を打ち出すことになるでしょう。
政府が借金をしてでも産業界に活を入れるような方法を考えることは
先ず間違いないでしょう。
最近、中国の国債を国内でなく香港で大量に売り出したのも
そうした積極策の一環と見ていいのではないでしょうか。
それに対して日本が国内消費を刺戟するのは
ほとんど不可能に近いのではないでしょうか。
輸出をふやす方が日本の場合は国内消費をふやすより
ずっと実現性が高いと思いますが、
それを後廻しにして国内消費をふやそうとしても
国民がそれについてきません。
どうしてかというと、産業界が恢復しないと失業はふえる一方で、
収入は減少する方向に動くからです。
先行き不安になれば、誰でもお金を使わなくなります。
そこへ子供や老人に対する手当てが只でもらえるとなれば、
もらった分だけ貯金にまわります。
政府の借金のふえた分だけ働かない人の貯金がふえるのですから
国内消費をふやすことにはならないのです。
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