第3477回
失業率は記録破りになると見ます
経済学では同じ失業でも
自発的失業と非自発的失業に分けています。
自発的失業とは、読んで字の如く、自ら進んで失業する人ですから
同じ失業でも大して社会問題になりません。
どこの社会にも必らずそういう人はいるものです。
大抵は生活に困らない人ですが、
そういう人でも規定に合えば、失業保険をもらうことはできます。
しかし、そういう人は全体から見たら大した数でないし、
社会に大きな影響をあたえませんが、
自ら選んで失業するわけでないのに、解雇されて失業するとか、
失業した人が次の就業を望んでも
職にありつけないということになると、
社会不安をもたらして、大きな政治問題になります。
日本に比べて一足早く成熟社会になったヨーロッパでは
失業率が高くなって、常時10%をこえる国が珍しくありません。
それに比べると、日本では失業率が低く、
高度成長が続いていた間は
ほぼ完全雇用に近い状態が続きました。
バブルがはじけてからも、日本の企業はすぐに解雇する代わりに、
社内失業を選んだので、
欧米に比べて雇用の安定した国として今日に至っています。
しかし、バブルがはじけて不況対策に熱中しているうちに
気がついたら本採用から派遣社員やアルバイトに少しずつ移向して、
正社員の少い雇用制度に移行しています。
それが実体経済の悪化で軒並み大赤字に見舞われると、
どこの会社も一せいに臨時雇いの首切りをはじめたので、
あっという間に5.7%という
過去最高の失業率と鉢合わせをするところまで届いてしまいました。
それでもヨーロッパに比べるとうんといい方ですが、
問題はそれが恢復に向うのか、
そのまま沈没して起き上がれなくなるのかということです。
私はかなりきびしい見方をしています。
輸出は幸にして中国向きが少しずつ恢復しますが、
国内消費は楽観できません。
タンスの中が既に一杯なのに、
自分の懐具合を心配している人が
新しいワイシャツやスーツを新調するものでしょうか。
消費と失業はそんなに簡単には戻れないというのが私の見方です。 |