中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3468回
享泰は食品の大手輸入商社です

私が享泰に注目するようになったのは
同社が大規模農業に着手したからではありません。
金融不安の起る前から、
私は人民元の切り上げ要望が日増しに強くなって、
いまに輸出に従事する産業より
輸入に従事する産業の方が有利になる、
輸入に従事して毎年、
成長している企業はないかと探していたら、
主として食品の輸入を手がけて
毎年かなり営業成績をあげている
享泰にめぐりあったのです。

資料を調べて見ると、
食品や日用品を色んな国から輸入して
大型店から小売店に卸しているだけでなく、
生の野菜を泰国で冷凍して
広東省から上海、大連まで幅広く販売して、
最近は22億ドルあまりの売上げをし、
2億6000万ドルの利益をあげていることがわりました。
資本金を見ると僅かの1600万香港ドルに対し、
何と19億8000万ドルもの積立金を持っています。
1株の額面は1セントですが利益は1株当り13セントで、
1株当りの資産は額面の100倍をこえていますから、
株価が1ドルしていても、株価収益率は8倍にも達していません。
(それがいまや1株40セント前後ですから
株価収益率はたったの3倍です)
唯一の欠点は経営者がケチで、
事業の拡張にばかり力が入って、
ずっと配当をしていないくらいのことです。

そこで私は本社に電話をかけて
香港に考察団を連れて行った時に、
董事長さん総経理さんに説明に来ていただきました。
はじめて会った董事長さんが川端康成や三島由紀夫の
読者であることを知ってびっくりしましたが、
請われて私の直木賞作品である小説
「香港」の中国語版を贈呈しました。
以来、お互いに遠慮のない関係になり、
上海の販売基地にも団体をつれて押しかけ、
そのスケールの大きさに改めてびっくりさせられました。

私は株主を大事にするよう配当をすすめましたが、
口先では「私も株主ですから」と言っておいて役員会になると、
新しい事業と企業の買収の金ぐりに追われて
ごらんのように2008年の6月期も無配の決議をしています。
そのあとに金融不安が続いていますから、
2009年度はもちろん、配当は期待できない筈です。


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2009年9月7日(月)

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