中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3467回
日本にない大規模農業に注目を

食品産業と隣り合わせに農業があります。
日本には農業の上場会社はありませんが、中国にはあります。
どうして日本にないかというと、
終戦後、日本では土地改革が行われ、
地主から農地を取りあげて小作農に分配しましたが、
零細農民を保護するために企業による農業経営を禁じ、
農地を売買することも、農地を宅地に変更することも
きびしい条件をつけて制限したからです。
農作物の流通にも農協を介在させて、
金融から肥料の供給まで統制下におきましたが、
その結果、農業の合理化が遅れ、
農業に従事する人口は減少し、老齢化が進むと同時に
休閑地が目に余るようになってしまいました。

それに比べると、
共産主義での中国では一時期、農業生産が衰退し、
多数の餓死者まで出しましたが、
ケ小平の開放政策以後、食糧の増産が進み、
やがて大規模農業も認められるようになったので、
現在ではご存知のように
超大現代農業と緑色食品の2社が上場して
高い株価を維持しています。
金融不安による大暴落のさなかでも
他業種に比べて株価がさして下がらないのは、
その成長性と高収益が誰の目にもはっきり映っているからです。
何しろ売上げに対する利益率が1社は40%、もう1社も30%と
他業種とは比べ物にならないくらい高収益ですから、
日本の農業の疲弊ぶりを見なれている日本人は
思わず眉をこすりたくなってしまいます。
零細農業が如何に能率の悪いものか、
改めて教えられているようなものですが、
ここへ来て大規模農業の
新規上場申請のニュースもふえていますし、
上場会社の中で大規模農業に進出している上場企業も現れました。
その代表格が食品の流通と輸入からスタートした享泰であり、
他の2社に比べて流通から逆に川上の生産に進出しているので、
販売に強いという長所を持っています。
しかも株価が他の2社の10分の1以下ですから目が離せません。
私は香港の本社と上海の流通基地と
既に利益をもたらしている江西省にある大規模農場と
3回にわたって見学に行ってきました。


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2009年9月6日(日)

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