中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3463回
失業したら間違っても故里に帰るな

バブルがはじけて景気が悪くなると、
どこの企業でもパートやアルバイトで
間に合わせるようになります。
かなり高度の専門技術を必要とする職場でも、
本採用はなるべく敬遠して、
人材派遣会社からセットで
専門グループを迎え入れるように動きます。
人材派遣会社では、
定年退職した工場長や職場の長をヘッドにやといいれて、
その手足になるスタッフを組織してセットにして売り込むので、
正社員などいなくとも
工場内の運営には支障を来たさないようになったのです。
支払う人件費も一人一人やとって会社で訓練するより
多少はコスト・アップになりますが、
昇給や退職金の心配はしなくてすむし、
昨今のように仕事がなくなると、
契約期限が来たらいつでも辞めてもらうことができます。

かつては人手不足で悩んだ会社が
時代が変わると首切りで
トラブルにまき込まれることを恐れるようになったので、
日本的経営の長所もクソもなくなってしまったのです。
失業者がこれ以上ふえて
社会問題になることをおそれる政治家や
いいカッコしのジャーナリズムは
企業の責任を問う側にまわっていますが、
失業した当人以外は皆、本心は逃げ腰です。
実際問題としても仕事のない所に職があろうわけもなく、
職を探がす必要のある人は
仕事のある所に動くよりほかありません。

そうした人手を必要とする仕事は
成熟化した社会からだんだん消えて行こうとしているのです。
とりわけこれからの日本で
ビジネスのチャンスが更に冷え込めば、
仕事場はもっと冷え込みますので、
就職のチャンスはますます少なくなります。
私が工場を経営しているとしたら、
商売のしやすい所を探がして海外に工場を移します。
ところが、既に工場を海外に移している日本の企業まで
外国は仕事がやりにくいとばかりに
逆に海外拠点を畳んで引き揚げてきています。
これでどうやって新しい職場を
見つけることができるのでしょうか。
みんな大あわてにあわてて悪い方向へ、
悪い方向へと逆に走ろうとしているのです。
これ、間違った動きと思いませんか。


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2009年9月2日(水)

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