第3443回
レストランは円卓から4人掛けに
北京や上海には新しいレストランが
ドンドン店びらきをしています。
インテリアも垢抜けした、気のきいたものが多く、
料金もそれに見合った高い値段がついていますが、
とても面白い現象はテーブルの大きさが
かつてのファミリー中心の円卓から
4人掛けに移りつつあることです。
日本のレストランの座席は、
「春高楼の…」の唄にもあるように、
殿様を囲んだ宴席が多く、
それがやがて取引先を接待する宴席に変わりました。
社用族のためのレストランがファミリー・レストランに
とって代わられたのはずっとあとになってからのことです。
一頃はファミリー・レストランのチェーンが
株式市場の成長株としてハヤされたこともありましたが、
気がついて見たら、
ファミリー・レストランが業績不振にあえぐようになっています。
日本のチェーン・レストランは
どこも海外進出に血眼になっているところです。
それに対して中国は
もともと家族を単位にした社会でしたから、
レストランも12人で坐る円卓が中心で、
食事と言えば家族ぐるみで行く
ファミリー・レストランだったのです。
ところが、一人っ子政策の影響もあるでしょうが、
家族の数が少くなったし、
それ以上に個人主義が横行するようになったので、
円卓がガラガラ空くようになりました。
台湾ではいち早く円卓から4人掛けに一変してしまいましたが、
中国大陸でも同じ傾向が目立つようになっています。
先般行った北京ダックの店も、
4人掛け、6人掛けは超満員なのに、
12人用の円卓はガラ空きなのです。
何しろ一人っ子政策が長く続くと、
兄弟も姉妹も中国社会から消えてなくなりました。
「四海のうち皆兄弟たり」と言っても
兄弟のある人がいないのですから、
何が何だか、さっぱりわからなくなってしまいます。
レストランのテーブルの置き方に先ずその反応が出ていますが、
消費にも豊かになった中国人社会の変化が
反映されはじめているのです。
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