中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3444回
中国のデパートで高い物が売れる時代に

日本人は物づくりはうまくて、
商売は下手だと言われています。
反対に中国人は商売はうまいが、
物づくりは下手糞だと言われています。
それなら、日本人は物づくり、
中国人は商いに徹してお互いに分業にすればよさそうに思います。

ところが、実際に起っていることは、
日本の流通業が中国に進出して
中国のデパートやスーパーと競争しているし、
工業生産で中国は日本の後塵を拝してきましたが、
いまや繊維や雑貨では日本を圧しているし、
家電やITでも日本と互角の競争をやっています。
それぞれにその長とするところがあって、
そのうちに日本人とか中国人とか、
人種や民族別に長短を
判断できなくなる時がくるのではないでしょうか。

私は中国に進出したデパートやスーパーや
コンビニの手伝いもしていますが、
日本人の方がサービスの分野では神経の届く所が多く、
その長所が中国人のお客に高く買われています。
安いばかりが能ではなくて、
高くても欲しい物があり、お客を満足させてくれれば、
商売として成り立つのです。
とりわけ豊かになって、
支払えるお金がふえればふえるほどこの傾向は強くなります。

中国のデパートやスーパーに並ぶ商品は
最近、目立ってふえてきましたが、
安物より高い物の方がよく売れる傾向が続いています。
安ければいいということではなくて、
高くてもその値打ちがあると認められれば、
買ってくれる人がふえているのです。
私はそれが婦人服やハンドバッグの分野ばかりでなく、
地下の食品売場にも起ると見ています。
いまは野菜でも肉でも山のように積み上げて、
金持ちも貧乏人も血眼になって
自分に納得の行く物をなかから選んでいますが、
間もなく高級な物と安物が別々のところにおかれて
それぞれ品物の方がお客を選ぶようになります。
そういうことでは日本人の方が中国人より敏感ですから、
日本のデパートに中国人のお客が集まることも
考えられないことではないのです。


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2009年8月14日(金)

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