第3442回
中国に新しいミドル・クラスの誕生
国民所得水準の向上するプロセスで、
先に金持ちになる人と遅れて後を追う人に分かれるのは、
どこの国でも避けられないことです。
中国でも予想されたことがいま起っています。
群を抜いて巨富を築く一握りの人も、もちろんいますが、
社会を大きく変えるのは新しいミドル・クラスです。
中国の場合は人口13億のうち
約15%がミドル・クラスを形成すると見られているので、
約2億の人たちの消費性向が
中国の市場を大きく変えることになります。
この傾向はたとえば、
自家用車を買う動きやマンションを買う動きにも現われていますが、
一番敏感なのはレストランと
ついでデパートの物の売れ方に見られます。
地方まわりを終えて北京に戻った私は
いま評判になっていて
なかなか予約のとれないレストランに連れて行かれました。
夕方が近づいてから予約を入れたせいもありますが、
2回も断られて3回目にやっと席がとれました。
何が評判なのかときいたら、
北京ダックが美味しいのだそうです。
北京烤鴨なら全聚徳や便宜坊をはじめ有名店がいくらでもあります。
それをしのいで客を集めているのですから、
やっぱり百聞一見に如かずですね。
そう思って勝手知ったうちの北京通に案内されて行くと、
太平洋百貨と隣り合わせの古風な建物の中にあって、
その名も1949 THE HIDDEN CITYとあって、
ギャラリーが北京ダックと
1杯42元もするラーメンの店と一緒になって毎日、
外人客と金まわりのいい連中で一杯になっていると言うのです。
北京ダックのコースで1人前が約300元(4,500円)ですから、
日本人にとってはどうということはありませんが、
普通の中国人にとっては
3倍から5倍の夕食代ということになります。
こんな店にこれだけの人が集まることは
いままでに考えられなかったことです。
やはり新しいミドル・クラスが誕生して
新しい消費構造が形成されつつある動きと見てよいでしょう。
料理はどうっていうことはありませんでしたが、
後学のために一度覗いて見たら。
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