中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3434回
流通業の大移動がはじまっています

このままだと日本で成りたたなくなる企業が
続出すると見ています。
世界が大きく変わろうとしているからです。

たとえば流通業です。
日本の流通業は毎年少しずつでも
売上げと利益を伸ばすことに慣れてきました。
とりわけスーパーやコンビニは戦後の新興産業だけに
店づくりや売上げがストップすると、
バッタリ行ってしまうと考えられてきました。
ですから、毎年のように店づくりをくりかえしてきましたが、
これだけ全国的に営業網が広がると
必らずのように不採算店がふえてきます。
そこへ更に業績の悪化が加わると、
店じまいにお金がかかるようになり、
もはや成長産業でなくなったどころの騒ぎでなくなっています。

デパートにしても大同小異です。
デパートは歴史が長い分だけ早くから優勝劣敗が明確になり、
弱肉強食が続いてきました。
なかにはスーパーがデパートを食うという動きも
話題になりましたが、
ここに来て一流デパート同志の合併さえ
目新しいニュースでなくなってしまいました。
2社が1社になれば、
実力が倍加するということにもならないし、
むしろ落ち込みが続くことが現実に起っています。
またデパートの経営がスーパーの経営者の手に合わないことが
シロウトの私たちにもわかるくらいですから、
どこの大手も私の本のタイトルではありませんが、
「東京が駄目なら上海があるさ」を
地で行くような動きを起しています。

私自身は4、5年も前から
いまに日本のデパートもスーパーもコンビニも一せいに
中国目がけて大移動をする時が来るぞと言っていましたが、
国内の経済環境が悪化するに従い、
本当に日本国中の流通業者が次々と行動を起しています。
今頃、気がつくのは落語をききに行って
帰りの電車の中で落ちに気がついて笑うようなものですから、
これからはじめて恐らく10年くらいは
失敗のくりかえしになることでしょう。
それでも流通業大移動の動きはとまりそうにありません。


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2009年8月4日(火)

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