中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3433回
金融不安の悪影響はアジアで日本が一番

日本のようにアメリカを商売の相手に選んで
国づくりをしてきた国は知らず知らずのうちに
アメリカと縁の深い関係を持つようになっています。
ですからドルを稼ぎすぎてバブルが崩壊すると、
低金利の国になり、
日本の銀行が只のような利息で集めたお金を
アメリカの禿鷹たちに貸し、
日本の株式市場に上場している大企業の大半を
その影響下においてしまいました。
日本のように唯我独尊で排他的な国民が気がついて見たら、
アメリカのドルの下敷になってしまったのです。

そのアメリカでかつての日本と同じようにバブルがはじけたので、
日本の受ける影響は恐らくアジアでも
一番大きいと言ってよいでしょう。
日本でお金を借りて日本の株を買い占めた
アメリカの禿げ鷹たちが金融不安で半死半生におちいり、
恐らく今年から来年にかけて
日本の株式市場からかなり引き上げる動きになるでしょうが、
日本自身も金融不安の影響を分相応に受けていますから、
すんなりと日本の個人投資家の手に戻るかどうか、
これからが見ものということになります。
戻るとしても、買手が少いままに株価が下がって
株主が交換することになりますから、
すんなりと日本勢の勝ち戦ということではありません。

そういうことよりも、
日本は中国以上に対米輸出に重点をおいてきた国ですから、
輸出がカットされることによって経済が大きな影響を受けます。
とりわけ円高が発生して対米輸出で業績をあげてきた
日本の大企業が軒並み大赤字に見舞われますので、
国内景気も悪化するし、税収も大減収におち入ります。
その上、政情不安が重なって
景気対策も難しい段階に入るでしょうから、
日本の景気恢復は決して楽観のできる状態にはありません。
アジアで一番実力がある分だけ、
アメリカから受ける被害が甚大で、
立ち直りに時間がかかるのではないでしょうか。
キリンとサントリーの企業合併が発表されましたが
いよいよこれから生き残りのための産業界の再編成が
続出すると見てよいでしょう。


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2009年8月3日(月)

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