中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3284回
国の世話になる人だけが日本に残る

失業が社会問題になるほどふえるのは、
企業が採算割れをして
生産や販売が思う通りにならなくなるからです。
ですから失業救済をやっただけでは
根本的な解決にはならず、
企業を立ち直らせることに重点をおく必要があります。

ところが政治家やお役人さんは企業がおかしくなるのは、
金ぐりに困るからだとお金のところにばかり注目し、
金ぐりができるようにすればいいだろう、
金利を下げてやればいいだろうと、
お金を借りる道をひらいてやったり、
金利を下げてやることを先ず考えます。
日本だけでなく、アメリカをはじめ、
世界中の政府が金融政策で対応しようとします。
お金を貸してもらっても、
さしあたりの金ぐりはできますが、
商売を元に戻すことはできないのです。

産業界がピンチになれば、
そこで働いている人たちの収入が減るし、
そういう状態が続くことを警戒して
皆が財布の紐を締めにかかるので、物が売れなくなります。
物が売れないと景気は一段と悪化しますから、
不景気にブレーキをかけるためには
金利を下げるよりも消費をふやすことの方が大切です。
国民の一人一人に使うお金をバラまくのも、
もちろん、一つの方法ですが、
優先順序から言えば、失業者を救済したり、
金利で生活をしている年寄りの収入を
ふやしてやる方が先でしょう。

しかし、抜本的な解決方法は不景気の中でも
企業がやって行けるように、円安に誘導したり、
コスト・ダウンの道をひらいてやったりする必要があります。
いま政府がやっていることはちょうどその逆ですから、
企業も個人も「天は自ら助くる者を助く」を
地で行くよりほかありません。
いまの企業と個人にやれることは
自分たちから進んでメシの食えるところに動くことですから、
気がついて見たら、
企業も人も日本から外に出て行ってしまっています。
国のお世話になるのは
故郷に残っている人たちだけだ
という時代がはじまっているのです。


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2009年3月7日(土)

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