第3283回
企業の重荷が国の重荷に
アルバイトの学生やパートのオバさんたちで
下働きを間に合わせたのは、
商店街やスーパーやレストランが先頭を切りました。
やがてそれがオフィスや工場まで及び、
そうした人材の派遣をする専門の企業が誕生し、
気がついたら大企業まで正社員を少くし、
人材会社から派遣された労働者で
穴埋めするようになりました。
派遣社員なら、賃銀を支払うだけですみ、
それを全額経費として計上できます。
自社の正社員のように、
賃上げや退職金の心配までしなくてすむし、
ストをやられる心配もありません。
少々、賃銀がかさんでも、
契約期限が切れれば、退職してもらえるし、
契約によっては、途中で解約をすることすらできます。
こういう制度を取り入れることによって
日本の企業は終身雇傭と年功序列給の重荷を
肩から下ろすことができたのです。
それでも日本の賃銀は発展途上国よりは
かなり高いレベルにおかれていますから、
昨今のように金融不安が実体経済にまで及ぶと、
操短や休業に追い込まれる一流企業まで
軒並み派遣社員の解雇ということになります。
それが全国的なスケールになると、
社会問題になりますが、
バブルの崩壊直後はそれぞれの企業が抱えた問題を、
社会全体、もしくは国に肩代わりしてもらう時代になった
と言えばわかりやすいのではないでしょうか。
つまり「大学は出たけれど」という時代に戻ったのです。
しかし、貧乏だった時代の日本と違って、
いまは発展途上国の援助もできるようになった日本だし、
只で高所得者にまでお金のバラ撒きが議案になる時代ですから、
その対案がまったくできないわけがありません。
私は預金金利をあげて
金利生活者の収入をふやすことを提案しましたが、
食うに食われなくなった失業者を
優先させることがもちろん先です。
そう言った失業問題が新聞を賑わせている限り、
日本はまだ抜き出しのならないピンチに
おちこんではいないのです。
失業者は次の仕事を探がすことができるのですから。
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