第3271回
預金金利の引き上げと減税が必要
世界中が金融不安に苦しむようになると、
銀行の倒産を防ぐために、
政府の資金を融資したり、
金利を安くして銀行を助けようとします。
どちらも商売のやり方を間違えた
銀行や証券会社の倒産を防ぐことにはなりますが、
産業の倒産を防ぐ役には立ちません。
小康を得た銀行が産業界にお金を貸すわけもないし、
むしろ貸したお金の引き揚げに夢中になるだけですから、
実体経済はその分、ひどい目にあわされます。
現に私の台湾の会社の1社が融資を受けていた銀行が
シティ・バンクの傘下に入り、
その親会社になったシティ・バンクの尻に火がついて
資金の回収に血眼になって
何が何でも全額直ちに返済せよ、
返済が遅れた場合は裁判に訴えると強行手段に出てきたので、
この年末に頭に来て6億円の返済をしたばかりです。
ふつうなら返済期限が来ても
書き替えに応ずるのが地元銀行の常識ですが、
アメリカの銀行にはそれだけの余裕がないことがわかります。
そのアメリカの銀行をお手本にしているのが
いまの日本の銀行ですから、
バブルでひどい目にあった日本の中小企業は
銀行からの借金にアレルギー反応を示すようになり、
倒産を免れた社長たちで
借金経営を続ける人はほとんどなくなってしまいました。
いまの時点で金利を切り下げてもらったから助かった
なんていう人は皆無に近いと言ってよいでしょう。
さしあたり日本に必要なのは、
金利の切り下げよりは、
円安への誘導と消費の奨励です。
焦眉の急は何をおいても失業対策でしょうが、
消費がふえれば景気が回復しますから、
金利を安くするよりも
預金金利の引き上げと減税ということになります。
でもいま日本の政府がやろうとしているのは
ちょうどその逆ですから、
日本の産業界の首を絞めにかかっている
と言ってもいいのではないでしょうか。
日本政府は企業を
日本から追い出しにかかっているとしか思えませんが、
個人にはその間をうまくくぐり抜けて
外国に出稼ぎに行く小径がまだ残されています。 |