第3272回
勤倹貯蓄より交際費の枠を拡げたら
景気が悪いとなかなかお金が儲からないので、
税金を少し負けてやれというのが税金をとる側の常識でしたが、
昨今のように税金を負けてもお金を使う方に廻わさずに
貯金にまわしてしまう時代には、
減税は更に節約を呼んで消費の奨励にはつながりません。
30年も高度成長が続きますと、
どこの家庭でも必要なものは一通り手に入っているし、
欲しい物でタンスの中は既に一杯になってしまっています。
ですからもっと皆にお金を使わせたかったら、
先ず家の中のガラクタを置くスペースをふやす必要があると考えて、
所得倍増ではなくて、
住居のスペース倍増を政策として推進したらどうでしょうか
と提唱したことがあります。
でも政治家の人たちは票づくりには熱心ですが、
票にならない景気振興策には関心がありませんから、
政策として取り上げられる可能性はありませんでした。
しかし、その可能性はまだ残っていますから、
いつの日か陽の目を見ることがあるかも知れません。
それに比べたら、
減税は無理としても、
消費をしたら税金を負けてやるという政策は
お金を無差別にばらまいて使わせるよりは
もっとずっと効果があるかも知れません。
使うお金を持っている人にお金を使わせるのですから、
政府がわざわざ税金としてとり立てたお金を
お金のない人にばらまいて使わせるよりも
容易で且つ効果があります。
たとえそれが銀座のバーや高級料亭で消費されようと、
そこで働いた人がまたそのお金の分け前に預かるのですから、
何もやらない人にお金を使わせるよりもずっと経済効果があります。
その具体的な方法についてはお金の無駄使いにたけて
政治家に考えてもらえばいいし、
さしあたり会社の交際費の枠を大幅にふやしたらどうでしょうか。
修身の教科書に書いてあるようなことは人格形成の役に立ちますが、
景気の振興には役立ちません。
食品産地の不正をとっちめるよりも、
無駄遣いを奨励する方が日本経済の振興の役に立つのです。 |