中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3270回
円高を放置しておく手はありません

日本人は海外旅行に行く時くらいしか
外貨を使うチャンスがないので、
為替のこととか、ドルについて
ごく常識的なこともわからない人が多いようです。
最近はサブプライム・ローンによる金融不安で、
毎日のようにドル安、円高の影響が
ニュースとして報道されるようになったので、
「ドルを半分に切り下げたら問題が片づくのですか?」
といった質問を私に投げかける人がとても多くなりました。

外国為替に対する知識がないので、
経済的なピンチにあったら、敗戦後の日本で財産税をとったり、
通貨の弱い国々で平価の切り下げをやったような非常対策が
アメリカに必要なんではないかと早合点してしまいます。
アメリカの調子が悪くなれば、
ドルが切り下げることは避けられなくなりますが、
為替のレートが国によって政策的に決められた時代と違って、
今は需要と供給によって落着くところに落着きますから、
何もやらなくとも相場の動きによって
すぐにも半分にでも、3分の1にでもなってしまいます。

しかし、ドルは世界に通用する基本通貨として
アメリカだけでなく、中国、日本をはじめ
世界中の国々が所有していますので、
ドルの低落によって損害を受けるのはアメリカだけではありません。
アメリカだけでなく、
せっせと努力してドルを稼いで積み上げた外国の人の方が
損をさせられる意識が強いのです。
ですからドルの目減りを避けたい気持は
アメリカ人よりドルを持っている世界中の人々の方が強く、
ドルの値下がりを防ぐことに協力的だと言ってよいでしょう。
そうなることに無神経なのはむしろアメリカ人の側であり、
値下がりすることによって借金が目減りして
却ってトクをするのがアメリカ人だと言うこともできるのです。

従ってしばらくたって調整がすすみ、
アメリカの銀行の債務の整理が終わると、
ドルはまたその値打ちを取り戻します。
でもその間、世界中で日本だけが人一倍苦しむのは
いささか不公平だと思いませんか。


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2009年2月21日(土)

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