中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3217回
アジアの時代に日本はどうする積り?

円高になったらそれを克服するために
日本人が一致団結して頑張るから大丈夫だという楽観論もあります。
第一次石油ショックの時がまさにそうでした。
そのおかげで日本は世界中から認められる
第一級の経済大国にのしあがることができたのです。

でもいまは違います。
30何年前、日本は経済成長のさなかにあり、
日本経済はまだ若かったのです。
トヨタやホンダだって、またソニーやキャノンや日立や東芝だって
まだ伸び盛りだったのです。
家電でも自動車でもIT関係だってまだこれからの産業でしたから、
大きな未来を持っていました。
賃上げをやっても、会社に払うお金があったし、
ふえ続ける所得で買いたい物はいくらでも買えたのです。

しかし、豊かになるに連れて
各家庭が必要とする物は次々と充たされ、
ひとり自動車だけが不況知らずで、
電子関係、情報関係がほぼ頭打ちに近づいても、
BRICsの国々を牽引車にして伸び続けると過信されていました。
それが今次の世界的金融不安によって
遂に頭打ちをするところまで来てしまったのです。

戦後、次々とピンチを切り抜けてうまく成長してきた日本も、
もう30年前の活力を持ち続けているわけではありません。
とりわけ国内消費が一通り充たされたこともあって、
日本企業は
次の時代の機関車の役割をはたすポジションにおかれていません。
と言ってアメリカの凋落の影響を
まともにかぶる立場でもありませんから、
アメリカの尻尾につくのか、
それとも勃興するアジアの先頭に立つのかは
日本人自身が選ぶことになります。

一時期は日本の全産業が
アメリカの軍門に降るのかという動きを見せましたが、
アメリカ金融資本の後退によって、
日本人が自分たちの運命を
自分たちで決定のできるところまで戻ってきたところです。
私が「新しい時代が来ましたよ」と言っているのは
「アジアの時代に日本はどういう役割をはたす積りなのか」
という質問でもあるのです。


←前回記事へ

2008年12月30日(火)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ