中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3216
日本は国全体が節約ムードに

1ドルが90円を割るほどの円高になると、
日本一稼ぎのよいトヨタ自動車でも赤字決算になると
新聞が報道しています。
トヨタでも赤字になるのなら、
日本国中の代表的な大企業が軒並、
赤字になる覚悟をしなければなりません。
それなのに、どうしてドルに対して円高になるのでしょうか。

アジアの他の国々は軒並み自国通貨安に見舞われていて、
僅かに人民元だけが少々頑張っているだけで、
ちょうど中国の輸出に少々かげりが見えるのを
口実に切り上げにストップがかかっていますが、
日本のように自国通貨が一方的に買われている国は
どこにもありません。
日本では円を買う動きが強くて、
その分だけドルが売られていることになりますが、
一体誰が円を買っているのでしょうか。

円を新しく買う理由はあまり考えられませんが、
にも拘らず円に対する需要が強いということは、
外国に行っていたお金がドル安を怖れて
円に戻っているということであり、
日本が円で貸している資金を回収していると
考えるよりほかありません。
もしそうだとしたら、円の回収が一件落着すれば、
日本の輸出は円高によって
甚大な損害を蒙る段階に入りますから、
輸出が減って円高にストップがかかることが必らず起ります。
円高が一転して円安になっても思うように輸出がふえず、
企業が軒並み業績悪化に見舞われることが
この次に日本で起る可能性のあることではないでしょうか。

世界的な金融不安によってもたらされる景気への悪影響は、
いま現在、日本人が考えているよりも
かなり深刻な方向に動く可能性が強いと私は見ています。
輸出も悪化しますが、
それ以上に国内で皆が財布の紐を締めてかかるので、
デパートやスーパーやショッピング・センターが
売り上げ不振におちいる可能性が大きいのです。
そういう時に国の台所を
自分でお金儲けをしたことのない
金持ちのドラ息子に任せるのですから、
日本の国はこれから一体どうなるのでしょうか。
財布の紐を締める人がかなりふえると思いますよ。


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2008年12月29日(月)

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