中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3215
日本の受けるパンチは想像以上かも

私は次は「アジアの時代だ」と言いましたが、
そうなる前に、アジアでどの程度、
アメリカ発金融不安の損害を蒙るのか、
頭に入れておく必要があるんじゃないかと思っています。

中国は外国資本の流入にも
高い壁を設けてチェックしてきましたので、
一般人がアメリカの債券や投信から受ける損害は
ほとんどありませんが、
それでも中国の上場企業がデリバティブに投資したり、
中国の銀行がアメリカのミニ・ボンドを仕入れたり、
香港で販売していますので、
それなりの損害は蒙っていると見ています。
しかし、仮りにかなりの被害を受けているとしても、
屋台骨が傾くほどではないでしょうから、
恐らく私たちの目にふれないまま処理される
終わりになるんじゃないでしょうか。

それに比べると、香港とシンガポールの銀行は
アメリカとずっと密接な関係にありますから、
人に言えないくらい大きなショックを受けている筈です。
たとえばホンコン・シャンハイ・バンクは、
世界中が利下げに走っているさなかで、
住宅ローンの金利を逆に上げたくらいですから、
日本の農林金庫がアメリカの投資銀行から受けている損害に
負けないくらいの不良資産を
抱えているのではないかと疑いたくなります。
シンガポールの銀行についても
それより軽微な損害ですんでいると思うほど
こちらがお気楽というわけにも行かないでしょう。

日本の場合も、「アジアの蚊帳の外」にいる分だけ、
アメリカにのめりこんでいますから、
アメリカの債券を買うだけでなく
莫大な融資もやっていると考えるべきでしょう。
いまその分だけ日本の株に対する
外人持分が売られているだけでなく、
アジアの他の国々と違ってひとり円高になっていることが
円建ての貸しつけが如何に大きかったかを証明しています。
無事に帰ってきた分だけ胸を撫でおろしてよいと思いますが、
それ以上に円高で今後の輸出が困難になっていることが
日本の産業界に大不況の影をおとしています。
日本の受ける世界不況の影響は決して楽観のできる程度で
おさまらないのではないでしょうか。


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2008年12月28日(日)

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