中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3214回
そう簡単には立ち直れない筈

日本でバブルがはじけて多くの日本人がひどい目にあわされたのは、
もとを言えば、ドルを稼ぎすぎたことに端を発しています。
産油国の王様たちのように、
自分たちの立っている地面の下から石油が湧き出てきて、
それで成金になったのとはわけが違います。
外国から安い原料を買って来て、
それに汗水垂らして加工して
つくりあげた製品を売って稼いだ大切なお金です。
それでも自分たちが持ちつけたことのない
分相応をこえたお金は吹っとんでしまうのです。

どうしてそういうことが起るかというと、
金本位制が廃止になって
貿易の帳尻を紙幣と紙幣で決済するようになると、
どこの国でももらった外貨を中央銀行に売って、
自国の紙幣に換えてもらうようになったからです。
中央銀行は支払ってもらった外貨
(大抵の場合はドルで決済するので)、
ドルを担保にして自己紙幣を発行できる制度になっています。
ですから輸出がふえると、
日本銀行に外貨がふえる一方で
国内で流通する円が洪水のようにふくれあがって、
お金がだぶつくようになります。
日本銀行はたまるドルでアメリカの国債などを買って
収入をふやすことができるので、ほくほくしていますが、
国内にあふれる円は行き先に困って不動産や株に投資され、
いわゆる資産インフレを起します。
不動産に対する賃借や会社の業績があがるわけでもないのに
不動産や株だけが投機の対象になりますから、
いつかは必らず天井を打って逆転して大暴落を引き起します。
東京の繁華街の地価が1坪100万円から1億円まで大暴騰して、
それが10分の1
更にはそれ以下まで大暴落したことは
年配の方ならご自分で体験した通りです。

日本人のように汗水垂らして稼いだお金でもバブルに見舞われると、
手の打ち様がなかったのです。
それをドルのバラまきをやったアメリカで
お金にお金を稼がせるとなれば、
お金が焦げついた途端に何が起るか、
想像がつかない方が本当はおかしいのです。
アメリカ経済の蒙った被害は
そう簡単には立ち直れないと見た方が
真相に近いのではないでしょうか。


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2008年12月27日(土)

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