第3213回
風船をふくらませ続けたらどうなる?
新しい時代が来たということは
アジアの時代が来たということですが、
アメリカで世界的な金融不安をもたらすような
ピンチが起ったからではありません。
やがて世界的な金融不安を惹き起すような
ピンチの種が蒔かれたのは凡そ30何年前、
第1次石油ショックが起った頃に、
今日このようになる種が蒔かれたと私は見ています。
広大な領土と豊富な資源の上に築かれたアメリカは
旧世界から多くの移民を呼び入れましたが、
2回の世界大戦を経て
世界に号令をかけられるような地位まで登りつめると、
稼ぐより消費する方にウエイトがかかるようになり、
第1次石油ショックが起った時、
本来なら資源の節約によって
ピンチを乗り越えるべきところを、
ドルを印刷して産油国の資源を先に涸渇させる
作戦に出てしまいました。
ドルが世界的通貨として通用するようになったことが
アメリカを過(あやま)らせることになってしまったのです。
1バレル2ドルが12ドルになっても、
ドル紙幣を印刷する際に0を1つ加えれば、
石油は何なく手に入ったし、
それが更に100ドルになれば、先に費ってしまった分は
安い買物だったということになります。
しかし、その分だけ外国人の手に渡ったドルを、
もし相手国が売りに出せば、忽ちドルの大暴落につながります。
それをうまくおびきよせてもっとふやしてあげますと、
アメリカ人はお金でお金を儲ける道を選び、
多くの投資銀行や証券会社をつくって、
ドルの暴落を先延ばしにしたのです。
物をつくって新しい価値を生み出す代わりに、
お金にお金を儲けさせようとすれば、
風船をふくらませ続けるようなもので、
いつかは必ず破裂するにきまっています。
それを真っ先に経験したのが
一足先にドルを稼ぎすぎた日本でした。
次に経験したのはドルを借りすぎたアジアの国々で、
予想もしない大ヤケドをしました。
同じことが必らずアメリカでも起るだろうと
私が予言したのはちょうどいまから10年前のことでした。
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