中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3209回
中国の大規模農業は次の成長株

5年ほど前に山東省の経済視察に行った時に、
日本にナマの野菜と
その加工品を輸出している企業を訪問したことがありました。
日本に対する輸出が売上げの80%を占め、
残りが国内向けでしたが、
野菜のままでは加工度の低い分だけ付加価値も低いし、
農薬などでクレームをつけられると、
たちまちキャンセルされて大損させられるので、
私はあまり将来性のある事業とは思いませんでした。

ところが、
5年たってまた山東省を訪れると、
80%だった輸出が全売上げの20%になって
国内向けが80%に逆転したと説明を受けました。
それも80%の輸出が減ったわけではなくて、
国内出荷分が輸出の伸びを大きくオーバーして
起った変化だそうです。
つまり市場で野菜屋さんが売っている野菜以外に
都市のスーパーやコンビニで売れる生鮮野菜の量が急速に伸びて、
大きな農園で栽培した農作物のルートが大きくひらかれたのです。

こうなると、
農協を通じて零細農民がつくった作物をいちいち集めて来なくとも、
大規模農園と大規模スーパーが直結して商品を消費者に直接、
提供することが可能になります。
私が最近注目をしている食料品の輸入商はウォルマートや
カルフールに納入する生鮮野菜を泰国で冷凍してから
上海や大連まで冷凍コンテナで消費地の冷凍庫に移して
そこから小売店に配達していましたが、
コストを計算すると国内に大規模農園をつくっても充分、
採算に合うことがわかり、
既に江西省で広大な土地を確保して作付けをはじめています。

その先輩筋にあたるのが既に香港市場に上場している
超大現代農業と中国緑色食品で、
いずれも高収益と業績の伸びで注目を浴び、
かなりの高値をつけています。
最近は株式市場の大暴落のつきあわされて
かなり売り込まれていますが、
それでも比較的高値に落着いているところを見ると、
生鮮野菜にはかなりの荒利があり、
今後も依然として成長が続くと見られているからでしょうか。


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2008年12月22日(月)

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