第3208回
日本でできなかった大規模農業に注目を
中国であまり遠くない将来に
人口の半分を養う食糧が不足するようになるとすれば、
工業化にストップをかけるか、
7億人の人を養うだけの食糧を増産する体制を確立するかの
どちらかを迫られることになります。
少くとも農業をいまのままにしておくことも、
これ以上の農民が農村を離脱して工業に動くことも
許されないことは目に見えています。
しかし、現実に都市部に
倍以上の収入をもたらしてくれる就職口があれば、
農民離村にストップをかけることはできないでしょう。
国をあげて農業に重点をおき、農作物の価格を上げたり、
農業技術に革命的な効率をもたらしたり、
農民所得の倍増計画を実行する必要に迫られる時が必らずきます。
私はこの20年間、
中国を「世界の工場」に仕上げることに興味を持ってきましたし、
その先頭にも立ってきましたが、
5、6年前から雲南省でコーヒーを植えたり、
お茶の改良やソバの栽培に興味を持つようになったのは
豊かになった中国の次に何が起るか
思い至るところがあったからです。
私よりずっと早くに中国農業の大規模化に興味を持ち、
それを上場企業のスケールまで
企業化することに成功した中国人が何人かいますが、
日本の農業の後進性を目のあたりに見てきた私は
半信半疑でその動きを観察してきました。
しかし、大企業農業が
中国の産業界にもたらした効率と実績を見ているうちに、
日本が農業を保護するために
農業の大規模化にストップをかけたことと
官僚化された農協組織を許したことが
実は大きな障害になっていることに漸く気がつきました。
最近の中国政府のように
農業の資本主義的経営を香港資本にやらせて見た結果は、
最初は輸出からはじまった経営が
国内の流通にも拡大されるようになり、
試行錯誤をくりかえしながらも、
もっと効率のよい農業経営が
展開される方向に向っているらしいことに
やっと気づいたところです。
来年は大規模農業経営の勉強に打ち込むべく、
遅蒔ながらやっと予定を組みはじめたところです。 |