中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3207回
中国に必らず食糧不足の時代が

食糧不足が次の世界の大きな課題になることは
誰にでもすぐに理解できることです。
世界の人口がどんどんふえる方向にあること、
貧しい国ほど人口のふえ方にスピードがかかっていること、
そして、工業化がすすむほど農業に従事する人が減って、
人口の半分を養う食糧を輸入に頼らざるを得なくなること、
もしBRICsの国が皆、
工業化に向うことが避けられないとすれば、
人口が多い国ほど食糧の供給先が見つからなくなることは
はっきりしているのです。

日本はもともと人口が多くて、
自国の人たちを食べさせるためには
食糧の輸入をしなければなりませんでした。
敗戦によって9千万人の人口が
4つの島にとじこめられるようになると、
食糧を買うお金を稼ぐために
工業に一そう力を入れる必要がありました。
それが結果として日本を工業先進国に押し上げ、
日本を周辺の農業国よりずっと豊かな国にしたのですが、
農業人口が工業に移行したために
人口の半分以上の人々を養うための食糧を
海外から輸入することになってしまいました。
同じことが日本の後を追う韓国や台湾にも起っています。
韓国では5千万人の半分の人を養うための食糧を、
台湾では2千3百万人の半分を養うための食糧を
現に海外から輸入しています。
もちろん、土地によって生産される農作物に違いがありますので、
輸入される食品にバラエティがありますが、
一口で言えば工業化が進むと、
人口の半分を養う食糧を
輸入に頼らなければならなくなるということです。

もし同じことが工業化のすすむ中国で起るとしたら、
7億人分の食糧が不足するようになるということです。
1億人や2億人分の不足なら
何とかしてそれを供給してくれる農業国を
探がし出すことができるかも知れませんが、
7億人分を供給してくれる農業国はこの地球上には存在しません。
とすると、
中国は必らず食糧不足に見舞われるということになります。
これが今後の中国の最大の課題になる筈です。


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2008年12月20日(土)

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