第3206回
食糧不足と老齢化対策が最大のテーマ
ことしから来年にかけて
自動車関連の企業もかなりのピンチに見舞われますが、
液晶関係の業種もほぼ技術的な限界に達して
過剰生産による値下がりに遭遇して
赤字決算で頭を抱え込むことになるのではないでしょうか。
ソニーも東芝もパナソニックも
増産増益から一転して
不如意な減収減益になると予告されていますが、
これは何も日本だけのことではなくて、
台湾からアメリカのコンピューター・メーカーや
電子製品メーカーなどに
部品の供給をしているパーツ・メーカーにも起っています。
1社だけで日本円1千億円をこえる
赤字の予想されているメーカーが何社もあり、
1社で従業員を
2万人も3万人も削減する動きも既に発表されていますから、
お金のやりとりにだけ起っている金融不安も
いよいよ実物経済に直接影響するところまで
及んできたと言ってよいでしょう。
しかし、これは景気不景気の動向であるというよりは、
情報産業にそろそろかげりが
出てきたのではないかと私は見ています。
日本の高度成長がはじまって約半世紀がたとうとしていますが、
産業界には繊維や造船からはじまって、
家電、自動車、航空機、そして更には情報産業と
次から次へと新しい成長産業が続きました。
それぞれの業種でチャンピオンになった人が
「時の人」として誕生しましたが、
情報産業が生産から販売、
更には娯楽の分野まで一変させる革命は
ほぼ一巡したのではないでしょうか。
世界的な金融不安が表面化したのも、
産業界が壁に頭をぶっつける時期にさしかかったことと
関係があると見るべきです。
つまり次の新しい時代がはじまろうとしているのです。
私は次の時代は
「食糧不足をどう解決するか」ということと、
「老齢化にどう対応して行くか」
が最大のテーマになるのではないかという予感を抱いています。
工業化が進めば、先ず食糧が不足します。
老齢化がすすめば、
アンティ・エージングが人々の最大の関心事になります。
次の産業界を動かすのはこの2つのテーマなのです。
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