中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3202回
業種と銘柄の入れ替えが必要に

株価が底値をつけて戻り足になったら、
元通りに戻るわけではありません。
株の大暴落をきたした原因は一回一回違いますし、
それによって大きな被害を蒙った業種や銘柄もありますし、
大暴落のおつきあいをしただけで
業績に全く影響のなかった銘柄もあります。
反対にいままではあまりパッとしなかったのに
経済の発展する次の段階で脚光を浴びる業種もあります。

たとえば自動車は何回不況になっても
ほとんど不況知らずに伸びてきましたが、
今回のアメリカのビッグ・スリーの大ピンチのように
国の資金の援助を受けないと
立ち直りが不可能な業種になってしまいました。
アメリカでビッグ・スリーを抜く立場にあるトヨタやホンダでも
売れ行きがおち、円高で利益が削減されると、
景気が底をついたらすぐ元へ戻れるものかどうか、
いまのところ見当がつきません。
中国はまだ発展途上にあるし、
所得の向上によって消費のふえる方向にありますが、
世界的に自動車業界の不況が続くと、
競争の激化によって
利益のあがらない業種におちこむ可能性がないとは言えません。

同じように金融業は
経済成長の中で大きな役割をはたすのが常識ですが、
昨今のように世界的な金融不安の後遺症が強く残るとなると、
業績が思うように伸びないばかりでなく、
不良債権に足を払われて株価が低迷することも考えられます。
とりわけ不良資産の整理にかなりの時間を要しますので、
近づかない方が無難だということになります。

また主としてアメリカを対象とした輸出産業は
原料高、人件費高、そして、人民元高と
アメリカのかなり長期にわたる可能性のある不景気によって
採算の悪化が考えられますから、
元へ戻るどころか、斜陽化が視野に入ってきます。
一足早く工業化のすすんだ広東省で
そうした業種の倒産が進行していますので
ただ株価が戻ればいいということではなくて、
銘柄の入れかえがかなり必要になるのではないでしょうか。


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2008年12月15日(月)

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