第3201回
ナンピン買いは損を覚悟でやるものです
いまはいつ株価が底値をつけるかが
株をやる人たちの最大の関心事ではないかと思います。
何しろ常識を越えて株価が下がりに下げてきました。
最高値段が30ドルをつけた株が10ドルを割ったら、
誰だってチャンスとばかりにナンピンをかけます。
業績もそう悪くなっていないし、
中国経済にもそう後退の兆しがなければ、
それが株をやる人の常識です。
ところが、それが更に5ドルを割れば、
いくら慎重な人でもつい手が出てしまいます。
それが更に3ドルを割り、
2ドルを割るということが現実に起っています。
2ドルを更に割るのは瞬間スピードみたいなものでしょうが、
なぜそんなことが起るかというと、
アメリカの投信に解約の大波が押し寄せると、
解約に応ずる資金がなければ
投資銀行が破産に追い込まれるからです。
値段かまわず換金を迫られると、
現に香港市場で起ったようなことが、
ニューヨークだけでなく、台湾や韓国でも起るのです。
日本は比較的潤沢な資金に恵まれていますから
一瀉千里というほどの下げ方をしませんが、
香港のような敏感な対応をする人の多いところでは、
忽ち10分の1にもなるような大暴落に見舞われてしまうのです。
ですから、ナンピンのかけそこないが連絡して
底値までおちると誰も手を出さないということが起ります。
もっと底があるのではないかという底値が
何日も何十日も続いてやっと底値が確認されることになりますが、
誰もがそっぽを向くようにならないと底には届かないのです。
ではいまが底かというと、
誰にもいつが底かわからないのが底です。
過ぎ去ってみないとどこが底かわからないのです。
ということは底値で柱を拾うことは
不可能だということになります。
恐らく名人と言われる人でも
ぴったしというわけには行かないでしょう。
つまり損を覚悟でやることと、
何回にもわけて丹念にやるのが
ナンピン買いだということになります。
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