中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3154回
資源産業と言っても色々あります

私が見ていると、世界中で金地金に一番関心が強いのは、
ヨーロッパではフランス人、アジアでは中国人です。
金に関心の強い人はお金にこだわる人でもありますが、
自分たちの政府(というか、お上というか)
を信用しない人たちでもあります。
フランスのことはあまりよく知りませんが、
中国は戦乱の歴史が長いので、
人々はいつも逃げ支度をしながら生活をしていました。

軍隊が攻め込んでくると、
大あわてにあわてて逃げ仕度にかかります。
畑も家も持って行けませんし、
行った先で役に立つのはお金だけです。
昔のお金は今のような紙っ切れでなくて、
金貨か、金の延べ棒でしたから、お金のある人はどの家でも、
金貨か金の延べ棒を家のどこかにかくして持っていました。
女の人だって金の腕輪とか、髪飾りを身につけていましたが、
いずれもきれいにみえるよりも
生き延びるための手段だったのです。

その習慣が長く残っているので、
少し豊かになった中国人が海外旅行に出かけるようになると、
香港に行くとすぐわかることですが、
一番人気があるのが貴金属の店です。
ヨーロッパや日本の人は気に入ったデザインの
アクセサリーに高いお金を払いますが、
中国人はいざという時は換金できることが念頭にありますから、
目方で売れる純金の鎖や腕輪に人気が集まります。
中国の金鉱株に人気が集まるのもそうしたお金に対する
執着の延長線上の行動だと思ったら間違いありません。

そういった意味で中国では
金鉱株に注目する人は多いと思いますが、
金は世界的な相場に大きく左右されるものですから、
バクチの対象にはなりますが、
私が頭の中で描いている成長株の中には入りません。
アフリカに行くと、金山のオーナーは金持ちのトップに
ランクされますが、パリやアムステルダムの有名ブランドの
貴金属の店のオーナーの方がずっと大金持ちです。
金の延べ棒を持って1人でこっそり楽しむのはいいですが、
置き場所を探がすのに一苦労しますよ。


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2008年10月28日(火)

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