第3155回
資源の争いからお金を儲ける争いに
日本は資源のない国なのに経済大国になったので、
日本人には資源が如何に大切かという認識がありません。
資源はお金を出せば買えると思っているからです。
もちろん、そういう考え方をするようになったのは、
戦後、工業生産に成功してからのことです。
戦前の日本は資源がなければ世界の一等国になれないと
思い込んで近隣諸国に攻め込み、台湾や韓国の植民地化をはじめ、
更に中国や東南アジアに兵を進めて一敗地に塗れて
元の4つの島に追い返されました。
もしここで工業生産を成功しなかったら、
日本は世界の貧乏国にランクされたでしょうが、
食糧不足をカバーするために工業生産に力を入れたことが
日本を世界の富裕国に格上げしたばかりでなく、
「資源がなくても買えばよい」という大へんな知恵を
日本人にあたえたのです。
どうして大へんな知恵であったかというと、日本の知恵が世界中、
とりわけヨーロッパの列強にヒントをあたえ、
19世紀から20世紀を風靡した帝国主義を終焉させたからです。
マルクスの影響もあって世界中どこでも
植民地の独立戦争がはじまり、
イギリス・フランス・オランダをはじめ、植民地に君臨した国々は
反乱と膨大な戦費に足をとられたからです。
戦争に敗けてピンチに追い込まれた日本と
続いて西ドイツとイタリアが
「資源がなければ買えばいい」という原理を実証して見せたので、
戦争の原因を資源の奪い合いから引き離すことに成功しました。
いまあちこちで起っている戦争は
領土の奪い合いに端を発したものではありません。
金さえあれば、どんな物でも手に入ることを
日本人は世界中に証明して見せたのです。
結果として何が起ったかというと、
お金でお金を争うようになりました。
お金さえあれば左に向いた人を
右に向けさせることもできるのです。
でもそれがまた新しい争いを生むことになります。
争いはまだまじまったばかりですね。 |